うみに溺れる。
***


『はっ?なに、なんて、』

『ごめん』

『っ、ごめんじゃなくて、どういう事?なんで雫玖が死んだのが空人のせいになるの?』


無意識にポケットに入れていた手は、縋り付くように空人に触れた。
顔を伏せている空人の表情が見たくて、すくい上げるように見上げても髪の毛のせいで見えなかった。


どういう事なの。
なんでそうなるの。


聞いても空人は答えずに、ただ『ごめんっ、』と謝るだけだった。

ポタポタッと私の腕に涙が落ちてきて空人が泣いている事に気付いた。
よく見ると手も震えている。


『……俺が、“その”引き金を引いたんだ』


小さい頃から私達はどんな時でも一緒だった。

なんだかんだ頼りになる空人と冷静で大人な雫玖。
その2人と一緒に過ごしてきた今までは物凄く楽しく、充実していた。

中学に上がり、思春期特有のあの時期は避けていたところがある。
男2人に女1人の構図はどうやら普通ではないらしく、からかわれて嫌気がさしていた。
2人と一緒に居る事が嫌なのではない、周りの反応が面倒くさくて学校ではそれとなく離れていた。

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