うみに溺れる。


雫玖と付き合い始めた頃、空人は明らかに私達を避け始め心配していた。

でもそれはきっと当たり前の行動だと思っていると、どうやら雫玖はそれが嫌だったらしく。


『雫玖、こればっかりはしょうがないと思うよ』

『今までずっと一緒に過ごしてきたのに?』

『それは、そうだけど…』

『僕は今まで同様、空人とも一緒に居たいよ。海は違うの?』


そう言われると何も言えなくなる。
雫玖のこういうところは少し苦手だった。



空人が私達を避けるようになって数日、いつの間にか空人は以前のように私達と一緒に行動するようになった。

男の子の友情はこんな感じなのかと、あえて口出しはしなかった。聞くことでもなかったから。
それに雫玖の言う通り私も3人で居ることが好きだったから。

…だから、時折苦しそうな顔をしている空人を私は見て見ぬふりをしていたところがある。

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