うみに溺れる。
***


「はーい、お前ら班で纏まって座れよー!」


1月末、特大イベントである修学旅行。
本来なら楽しみであるはずのこのイベントなのに、うちの班は空気が沈んでいた。

朝が早いから。
…違う。
ドキドキワクワクよりも緊張が勝っているから。
これも絶対に違う!


「ちょっと!!」

「…なんだよ」


海のお願いで仕方なく同じ班になる事を了承した柳楽空人はウザそうに小声で話す私の顔を見る。


「この前からずっっと思ってたけどあんた達2人何があったのよ!いい加減仲直りしなさいよ!せっかくの修学旅行なのに空気重すぎ!」

「別に喧嘩してる訳じゃねぇよ」

「はぁ?じゃあなんで、」

「俺が10:0で悪いから」

「だったら早く謝って…」


高校で初めて出会った海は天真爛漫で接しやすく、この子と仲良くなれて良かったと初めて思った人だった。


「謝って済むような問題じゃねぇの」


幼なじみがいるの、と紹介されたのもその時でずっと仲が良い事を教えられて驚いた。
今どきこんな少女漫画みたいな関係の人間がいるのかと。


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