うみに溺れる。


紹介された通り、3人はいつも一緒に登校して下校して行く。
学年でも知らない人はいないほどに仲が良い。

幼なじみのうちの1人である柊木雫玖と付き合い始めた、と聞いた時は驚いた。
…“そっち”なんだって。


『…あ、鹿嶋さん…だったよね?』

『え』

『柊木です。海どこにいるか知ってる?』


隣のクラスの柊木くんは2人とは圧倒的に違う雰囲気を持っていた。
大人っぽい、と言えばそうなんだろうしそれ以上踏み込むまでの興味は無かった。


『海ならトイレだよ』

『あぁ、そうなんだ。ごめんね、急に』

『…いや、』


海の友達。
それ以上でもそれ以下でもない私に向ける視線と2人に向ける視線は全く違う。

無駄に整った綺麗めな顔立ちのせいか、彼はいつも冷ややかな感じだった。


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