うみに溺れる。


その柊木雫玖が亡くなったのは1年の冬。
一瞬で終わった秋と冬の境目で同級生が亡くなった。

しかも、自殺で。

こんな事、滅多に経験しない。
なんなら友達の友達だし。

海と柳楽は数ヶ月学校を休んだ。
そうなる事は当たり前だし、心配もしていた。
メールを送っても家に行っても、既読すらつかず会えなかった。

そんな中、柳楽だけが登校し始めた。


『柳楽!』


痩せた?目の下のクマが酷い。
長くなった前髪で暗さが増してるようだった。

いつもの調子で返事が帰って来なくて調子が狂った。


『…海はまだ話せる状態じゃないから、俺も今どうかとか分かんねぇよ』

『…そっか、ごめん』


幼なじみが亡くなるってどんな感覚なんだろう。
遠い親戚が亡くなってお葬式に行ったことはあるが、ここまで近しい人が亡くなった経験はない。

私もなんとなくショックではあったし、海や柳楽の精神状態は計り知れなかった。

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