ショートケーキは恋の味。


「っ、そうだわ。永倉のばーか」



そう言って、
私のおでこをパチンッと優しく弾く寺川くん。



だけど、その顔はほんの少し笑顔に見えて。



「ばっ、ばかって............でもね、寺川くん。
寺川くんの才能は、恥ずかしくなんてないよ!スイーツ男子はカッコいいし、むしろ自信持って‼︎」



私は、そう言ってガッツポーズをすると。



「それで、いつか、自信がついたら、
寺川くんのショートケーキ、食べさせてねっ!」



これ以上、寺川くんの迷惑にならないように、
足早に、〝調理室B〟をあとにした。



私が出て行ったあとで.....................



「っ、スイーツ男子はカッコいいなんて、
誰にでも言ってんじゃねーよな、」



寺川くんがそう呟いてたことを。



──────私は、知らない。


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