ショートケーキは恋の味。


「あのさ、俺が、
名前覚えなさそうって目で見るのやめろ」



私の心を、
一瞬で読み取ってしまった寺川くん。



「ひ、ぇ!なんで分かるの!?
寺川くんってエスパー!?」



寺川くんにビックリして、
そう言って目をまんまるくしてると。



「永倉って、いつも顔に出るからモロバレ。
つか、そろそろ気が散るから、早く出てって」



驚いた私とは対照的に、
シッシッと、追い払うように手をしてくる寺川くん。



「..................ぁ、うん、」



私は返事をしながら、
壁に貼ってある掲示物を見ると。



〝調理室B〟と書かれていて、
いまさらながら、間違えてることに気づいた......



だけど、甘い香りの男の子、
もとい、隣の席の寺川くんが偶然いて。



スイーツ男子なんて知らなかったけど。



(恥ずかしがることなんてないのに、)



そう心の中で思ったのを、
バレないように背中を向けながら調理室をあとにした。


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