Rescue Me

第16章

 社長の家は閑静な高級住宅地の小高い場所にある。

 高層マンションではなく八階建ての低層マンションで、表には大きな門があり門の中に入ると広い敷地があって、その周りを大きな木々が取り囲んでいる。

 表の門から見ると彼の住んでいるマンションは日本で俗に言う「マンション」ではなく、英語で言うところの「Mansion (大豪邸)」のようなおしゃれな洋館風の建物で、一階の入り口には24時間対応のコンシェルジュがいる。

 高級ホテルのようなロビーがあり、ラウンジからは美しい庭園も見える。もちろんセキュリティーも完璧で、彼の部屋に着くまでに3回もカードキーをかざさなければ通れない。私の住んでいるアパートとは天と地の差だ。

 そんな彼のマンションの部屋だが、最上階にあるとてもゆったりとした2LDK。

 玄関を入ると廊下の右にまずベッドルームがあって、彼はここをオフィスに使っているらしくコンピューターや本がぎっしり詰まった本棚がいくつかある。

 廊下を進むと右手にバスルームがあり、更にまっすぐ進むとその廊下の奥には広く明るいリビングとキッチンがあって、バルコニーからは綺麗な敷地内の庭園と木々の向こうには街の景色が見える。リビングの奥には社長の寝室があってそこには大きなベッドといくつかの家具、それに大きなウォークインクローゼットがある。

 そんな彼の家に連れてこられた私は、リビングのソファーに座って社長がお風呂から出るのを待っていた。まさかいきなりこのようなシチュエーションになるとは思ってもいなくて、心の準備も下着の準備も何もできていない。

 落ち着きなく床に座ってみたりリビングやキッチンを往復していると、彼がバスルームから出てくる音が聞こえた。何故か慌ててリビングに戻ると、ラグの上に正座をした。
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