Rescue Me
 彼はふっと笑うと、額を重ね合わせて指を私の髪に絡ませた。

 「蒼を怖がらせないようゆっくりと進めていきたいのに、あのパーティーの夜キスしたみたいに理性が押さえられなくて君を傷つけるんじゃないかと怖いんだ。それで色々考えてたら緊張してきて……。蒼、君が大切なんだ……」

 彼がそんな事を考えていた事に驚くと同時に、彼の優しさや思いやりが嬉しくて心がじわりと熱くなる。

 「あのキスを嫌だったなんて思った事は一度もありません」

 私は彼の胸に顔を埋めた。彼の心臓の音が私と同じくらいドキドキと早鐘を打っている。

 「知ってるか?俺みたいな男をつけあがらせると、すぐ図に乗るって」

 そう言って私に覆いかぶさると、手を取り指を絡め合わせた。そして大切な物でも扱うかのように私の頭や顔、首筋に軽いキスを次々と落としていく。

 緊張が次第にとれてきて、くすぐったくてクスクス笑っていると、社長はいきなり私の唇を奪い、深く長くキスをした。

 彼の手がうなじを掴み、舌を絡ませながらキスは次第に激しさを増していく。その激しさについていけず息苦しくなって唇を離すと、彼は私の首筋に吸い付きながら手をするりとパジャマの中に潜り込ませ素肌に触れた。

 彼の冷たい指先に一瞬びくりとする。社長は顔をあげると少し驚いたように私を見た。恥ずかしくて彼をまともに見る事が出来なくて、私は目を背けた。

 ── どうしよう。やっぱり恥ずかしい……

 社長はゆっくりと起き上がると、少し地味だが着心地の良い私のパジャマのボタンを一つずつ外した。次第に地味なパジャマの下に隠れていた、実用性の全くない下着だけつけた裸体が露わになる。パジャマを全て取り除き私を下着だけにした社長はごくりと喉をならした。

 結局朝比奈さんのお陰で買い物に行く事ができなかった私は、昔アメリカで21歳の誕生日に友達がくれた下着を着ることにした。
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