Rescue Me

第17章

 「新しく里親として登録されますか?それではこちらの書類にまずお名前と住所、電話番号の他に家族構成などをご記入していただけますか?」

 「あの、里親として登録されるまでどれくらい時間がかかるんでしょうか?」

 「そうですね……。一度うちのスタッフがご自宅に訪ねてお庭の状態など確認したり、犬が夜どこに寝るのか、また日中はどこで過ごすかなど色々と確認をさせていただきます。それが終われば正式に登録されます」

 私は新しく里親になろうとしている家族へ、登録用の書類を渡しながら説明をした。

 今日は朝早くから、近辺の犬の保護団体が集まった譲渡会と交流のイベントに来ている。年に数回行われるイベントで、大勢の人が集まることから新しく里親に登録してもらったり団体への寄付を募る大切なイベントになっている。



 「やだぁ、もうすごく可愛い〜!」

 「一緒に写真を撮ってもいいですか?」

 女性の楽しそうな声が聞こえ、ふと顔を上げると少し離れた場所に大勢の女性が群がっている。よく見るとその真ん中には子犬を抱いている社長がいた。

 「さすがイケメン。いい宣伝になるねぇ。毎回来てもらおうかな」

 私の隣で社長を眺めていた竹中さんがぼそりと呟いた。

 「良かったね。彼とうまくいって」

 左隣にいた美穂さんはそう言って私に笑顔を向けた。

 昨晩社長と初めて体を重ねて一つになった後、彼に抱かれたまま眠りに落ち幸せな気持ちで朝を迎えた。

 今までも社長との距離は近く感じていたのに、身体を重ねて自分の恥ずかしい姿やありのままの姿を見られてしまったからなのか、彼との距離が半端なく近く感じる。自分以外の人間で家族よりも誰よりも自分の近くに社長がいる事に少し不思議な感じがする。

 今朝目覚めてから社長はひたすら私に甘くて、家を出てからもずっと私の手を握ったまま。運転する時も一時も離さず、このイベントのある公園に二人で手を恋人繋ぎにして現れた時は、ボランティアのスタッフからニコニコと生温かい目で見られてしまった。
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