Rescue Me

第19章

 「七瀬さん、お昼に行っておいで」

 お昼を少し過ぎた頃、五十嵐さんが私に声をかけた。

 いつも彼は愛妻弁当を持ってきてオフィスで食べているので、お昼は彼が電話番をしてくれる。

 「いつもありがとうございます。それじゃ、行ってきます」

 五十嵐さんに感謝しながらバッグを持って席を立つと、今日はどこで食べようかなと考えながら、エレベーターに向かった。

 「七瀬さん、ちょっと待って」

 丁度エレベーターが来て乗ろうとしたところ、後ろから久我さんが追いかけて来た。

 「もしよかったら昼飯一緒に食べないか?実は未だこの辺に何があるのかよくわからなくて。いつも同じサンドイッチとかコンビニの弁当を食べてたんだ」

 「もちろんです。どんなものが食べたい気分ですか?多分今の時間だと混んでるからあまり待たないとなると、うーん……このビルからワンブロック先にあるカレー屋さんか、もしくはもう少し先にあるイタリアンのお店……それかここから少し歩くんですけど、お蕎麦屋さんがあります」

 私はどこが一番早く食事が出てきて、時間内に会社に戻れるか考えた。

 「じゃあ、蕎麦で」

 「了解です」

 私達はビルを出ると、お蕎麦屋さんに向かって歩き始めた。


 「お仕事はどうですか?」

 彼が働き始めてそろそろ一ヶ月半が経つ。さすが以前社長秘書をやっていただけあって仕事が早い。

 「うん、結構楽しんでやってるよ。ここは前の会社より大きいからやりがいもあるし」

 「以前の会社はどこだったんですか?」

 「従業員が70人くらいの小さな会社だよ。仕事自体とても気に入ってたんだけど、社長とあまり合わなくてね。それで仕事を探してた時、ここの募集をみたんだ」
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