Rescue Me
 「ふふっ、くすぐったいです」

 その日の夜、夕食の準備をしている私に後ろから戯れついてくる桐生さんに、クスクス笑った。

 彼は先ほどから私のシャツの中に手を忍び込ませ、指を素肌に滑らせては首筋や肩に何度もキスをしてくる。

 「んー…早く食べたい……」

 そう耳の中に囁くと、彼は意味ありげに首筋に甘噛みした。

 「今すぐに出来るからちょっと待ってください」

 私はそう言って火を止めると、フライパンの中にある餃子を皿に移した。焼き上がったばかりの餃子を桐生さんはひょいっとつまんで食べた。

 「うまい。蒼は料理上手だな」

 今日は彼が夜遅い時一人で延々と作って冷凍してあった餃子とお味噌汁、ほうれん草のおひたしと作り置きしておいた煮物を食卓に出している。お昼はどうしても外食になってしまうし、桐生さんは私の手料理がいいというので週末や彼の帰宅の遅い日はいつも色々と作り置きをしている。

 「これテーブルに持って行ってください」

 私は桐生さんに出来上がった餃子を渡してテーブルに一緒についた。

 「なんか久しぶりですね。こうやって一緒に食べるの」

 私は嬉しくてニコニコした。彼もとてもリラックスして嬉しそうにしている。

 「最近忙しかったからな。ごめんな」

 「お仕事だから仕方ないです」

 私たちは箸を取ると一緒に食べ始めた。
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