Rescue Me
 「今度一緒に旅行に行かないか?」

 桐生さんは徐に話し出した。

 「えっ、旅行ですか?」

 思わず嬉しくなって色々と考えを張り巡らせた。今は10月初めで紅葉にはまだ早いが温泉なんかいいかもしれない。

 「いつ行きますか?週末で行ける場所だと、箱根とか草津もいいですよね」

 私はウキウキしながらご飯を食べる。

 「いや、国内じゃなくてアメリカに行こうと思ってる。正確にはサンフランシスコ」

 「えっ……?サンフランシスコですか……?」

 私は少し驚いて桐生さんを見た。いきなり国外旅行とかさすが考えることが違う。しかしサンフランシスコだとまさか日帰りではないだろうから最低でも4日は必要になる。

 「えっとそしたら年末年始のお休みですよね」

 今年の年末は宮崎に帰れないかなと考えていると

 「いや、年末は宮崎にいる蒼の実家に行きたい」

 と桐生さんは真剣な眼差しで言った。

 「えっ……本当に行くんですか……?」

 以前家族写真を見せた時そんな事を言っていたが、まさかここまで本気にしているとは思わなかった。

 桐生さんは食べるのをやめて箸を置いた。

 「蒼の家族にちゃんと会って話をしたい。それと蒼、サンフランシスコに行った時話したい事がある」

 私も食事を中断し、箸を置いて彼をまっすぐに見た。真剣な態度からもしかして……プロポーズ……?と一瞬思うものの私達はまだまだ付き合い始めたばかりだ。一体なんだろう……。もしかするとここ最近感じていた彼の隠し事に関係することかもしれない。

 「わかりました。……でもサンフランシスコに年末の休みの前に行くとしたらいつですか?それとも年明け……?」

 はっきり言って最低4日取れる連休など年末年始以外しばらくない。
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