Rescue Me

第20章

 「ちょっとレオ、じっとしてて!」

 週末の土曜日、いつものようにボランティアで「Paw Hotel and Daycare 」に来ている私は、一昨日保護されここに来た4歳の雑種のオス犬をシャンプーしている。

 とても人懐こく可愛いのだがなかなか大人しくじっとしていない。しかも水が好きなのか洗おうと水をかけると喜んで大暴れする。

 「レオ!ちょっと待って、ちょっと待って!」

 ブルブルと体をゆすり、シャンプーの泡を撒き散らすレオに慌てて顔を背けながら叫んだ。

 「蒼ちゃん、何やってるの?」

 竹中さんがやってきて、泡だらけの私を見てケタケタと笑った。

 「もう、レオ遊んでると思って、暴れまわって私の言う事全然聞かないの」

 私はびしょ濡れの自分を見下ろしながら言った。

 「そういえばさ、最近桐生さん見ないけど元気にしてるの?」

 竹中さんの後ろから美穂さんがやってきて私に尋ねた。

 「うん、最近仕事がすごく忙しくって。今日も接待に行ってる」

 「はぁー、会社の社長ってのも大変だねー」

 竹中さんは私の返事を聞いてそう呟いた。

 「そういえば美穂さん今日桜井(さくらい)さんは?」

 以前桐生さんからの紹介で、美穂さんとお付き合いするようになった銀行の副頭取の息子さん、桜井佳樹(さくらいよしき)さんの事を尋ねた。

 「今日はこれから一緒に里親の自宅訪問する予定なの。それでその後ちょっとしたデート」
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