Rescue Me
 まだ私が昨日遅く帰ってきた事に怒っているのだろうかと思い、そんな彼に少し憤りながらもベッドに入ってとにかく寝ようと目を閉じた。

 すると桐生さんはシャワーに入ってから3分ともしないうちに寝室にやってきた。随分早くお風呂を済ませたんだなと思っていると、彼はいきなり私が寝ている上掛けをバサっと剥ぎ取った。

 「なっ……?ちょっと何して……」

 思わず苛立ちながら彼を見上げた。シャワーから出た後タオルで拭いてないのか、水がポタポタと滴っている。

 「冷たっ。ちょっと桐生さん、何やって── …」

 すると突然彼は私に覆い被さると、両腕をベッドに縫い付けながら舌を潜り込ませ性急にキスをしてきた。

 「んんっ……!やだっ……!」

 桐生さんからは、私まで酔ってしまいそうな程のお酒の匂いがしてくる。

 水がポタポタと滴ってきて私まで濡れてしまい、必死に唇を離しながら彼を何とか押し退けようとした。

 「ちょっと待って……!」

 しかし彼はそんな私の抵抗を物ともせず、キスをしながらパジャマのボタンを次々と外していく。

 「お願い、桐生さん……!!」

 私は必死に抵抗しながら彼の名前を呼んだ。すると彼は突然動きを止めて、少し怖いくらいの情欲を目にたたえたまま私を見下ろした。それと同時に彼が少し不安定に左右に揺れていて、いつもと様子が違うことに気付く。

 ── あれ……?思ったより酔ってる……?まさか車運転して帰って来てないよね……?

 こんなに酔っている彼を見るのは初めてで、思わず心配になり彼の顔に手を伸ばした。

 「……桐生さん、大丈夫……?」

 私の上で少しグラグラとしているものの、じっと硬直している彼がますます心配になってくる。

 彼からは次々と水が滴り落ちてきて、水も滴るいい男ではないが、こんなに酔っててずぶ濡れなのに凄く色気があって綺麗な人だなと思ってしまう。
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