Rescue Me
颯人は意を決すると冴子とそして父親に向きあった。
「実は話したい事がある」
颯人はそう言うと、ここ最近ずっと考えていた事を話し出した。
◇◇◇◇◇◇◇
私は久我さんの差し出された手をじっと見つめた。
不安に潰れそうな時、寂しい時、そして悲しい時にふと優しい手が差し伸べられる。
……でも……
私は昨夜の桐生さんを思い出した。
私の心を動かすのは、楽しい時も悲しい時も喧嘩してる時もいつだって桐生さんだ。私の欲しい手はこの手ではない。桐生さんの手だ。
「七瀬さん……?」
久我さんが首を傾げて私を見た時、何かの鳴き声に気付いて耳を澄ました。私はその声を必死に辿って歩きながら小さな駐車場の様な所に入った。暗闇の中、何処からか子猫の鳴き声が聞こえる。
「七瀬さん、一体何して……」
久我さんは慌てて私の後を追ってくる。
「……多分猫だと思う……」
携帯のフラッシュライトをつけ必死に鳴き声を辿る。駐車場の隅の方に何かの修理で使うのか木材や資材が積み重なった所があるのが見える。私はその木材の間の小さな隙間に子猫を見つけた。
「……どうしよう…届かない……」
手を伸ばしてみるものの、子猫になかなか届かない。おまけに運の悪いことに雨が降り出してくる。
「七瀬さん、危ないし雨も降って来たからやめとけ。そのうち出てくる」
久我さんは次第に雨足が強くなる空を見上げた。私は辺りを見回した。比較的道路にも近く、この暗闇と雨の中ふらりと道路に出ると、間違いなく車に轢かれてしまう。
「実は話したい事がある」
颯人はそう言うと、ここ最近ずっと考えていた事を話し出した。
◇◇◇◇◇◇◇
私は久我さんの差し出された手をじっと見つめた。
不安に潰れそうな時、寂しい時、そして悲しい時にふと優しい手が差し伸べられる。
……でも……
私は昨夜の桐生さんを思い出した。
私の心を動かすのは、楽しい時も悲しい時も喧嘩してる時もいつだって桐生さんだ。私の欲しい手はこの手ではない。桐生さんの手だ。
「七瀬さん……?」
久我さんが首を傾げて私を見た時、何かの鳴き声に気付いて耳を澄ました。私はその声を必死に辿って歩きながら小さな駐車場の様な所に入った。暗闇の中、何処からか子猫の鳴き声が聞こえる。
「七瀬さん、一体何して……」
久我さんは慌てて私の後を追ってくる。
「……多分猫だと思う……」
携帯のフラッシュライトをつけ必死に鳴き声を辿る。駐車場の隅の方に何かの修理で使うのか木材や資材が積み重なった所があるのが見える。私はその木材の間の小さな隙間に子猫を見つけた。
「……どうしよう…届かない……」
手を伸ばしてみるものの、子猫になかなか届かない。おまけに運の悪いことに雨が降り出してくる。
「七瀬さん、危ないし雨も降って来たからやめとけ。そのうち出てくる」
久我さんは次第に雨足が強くなる空を見上げた。私は辺りを見回した。比較的道路にも近く、この暗闇と雨の中ふらりと道路に出ると、間違いなく車に轢かれてしまう。