Rescue Me
 あまりの気持ち良さに、細く甲高い啼き声を上げた。桐生さんは背中を弓なりにして啼いている私を食い入る様に見ながら、何度も愛おしそうに私の顔を撫でた。

 「……蒼…愛してる……愛してる」

 熱く湿った荒い息遣いで囁くと、彼はいきなり私をうつ伏せにした。分厚い胸板が私の火照った背中にピタリと重なり彼の腕が私の体に巻き付く。

 「蒼、もっと君が欲しい……」

 この夜、彼は明け方近くまで私を離さず、激しく、時に優しく、私を抱き尽くした。




 ◇◇◇◇◇◇




 次の日、私達はナパバレーのホテルを出て再びサンフランシスコのダウンタウンにあるホテルに戻ってきた。

 「実は今回親父の会社を辞める事になかなか踏み切れなかったのは、兄の海斗に全部負担させて申し訳ないとずっと思ってたんだ。それで仕事のオファーが来た時、海斗に謝りに行った。親父の事とか蒼の事、それにこの仕事の話とか色々と話しに行った。

 そしたら俺達の事やこの仕事の事をすごく喜んでくれて……。俺の事は心配せずにお前の好きなようにやってみろって。それにMelioraの技術にすごく興味を持って、ぜひ一緒に仕事がしたいって言ってるんだ。だから近い将来、桐生グループの子会社と仕事をする機会があるかもしれない」

 私はすでに新しい仕事に意欲を示している桐生さんを見て微笑んだ。

 「そう言えば海斗が是非蒼に会いたいって言ってるんだ。だから近いうち兄とそれから母に会いに行こう。兄は俺をここまで動かした人間はいないから是非会ってみたいって言ってる」

 桐生さんはククッと笑った。

 そうして二人で手を繋ぎながらホテルのロビーに戻ると、意外な人物が私達を待っていた。
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