Rescue Me

第5章

「Thank you for having us here. This is Aoi Nanase, my secretary」

 社長に紹介されて私は色々な人と名刺を交換し握手を交わす。私は今、社長と共に新しいクライアントとの会議に来ている。

 本来八神さんが一緒に同行するはずだったのだが、彼がこの打ち合わせに間に合わない為私が急遽参加する事になった。

 今まで秘書として社内で対応したことはあっても、社長と一緒に秘書として外に同行したことはなかったので緊張する。

 このクライアントはカリフォルニア、シリコンバレーにある会社の一つで自社の製品を日本で公開するイベントを行う為桐生クリエーションに依頼してきた。

 社長とは知り合いなのか、会議と言ってもあまり堅苦しくなく和やかな雰囲気で進む。緊張していた私も次第にリラックスして話を聞きながら、必死にメモを取った。

「Yes, We can provide this video streaming over the internet. If you want we can also ーー」

 社長の流暢な英語を聞きながら、顧客の返事をメモにとる。私が思うに、彼は恐らく長いこと留学か何かしていたに違いない。

 英語はある程度日本にいても出来るが、微妙なニュアンスや独特の言い回しや表現は、何年か住んでいないとわからないものもある。電話で時々聞いてはいたが、改めてこうして対面同士の会話を聞くとますます確信する。

「Ok. Great. I will come up with a new plan based on your input and my team will contact you later.」

 社長は皆と握手を交わし、会議が無事終了した私達は彼の運転して来た車に向かった。

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