Rescue Me
 颯人は仕事も好きだが遊びも好きだ。彼は常に活力に満ち溢れ、女と思いきり遊ぶ事によってストレスを発散し、仕事も精力的に打ち込めるタイプだ。

 しかし蒼と出会ってから何もかも自分の思い通りにならず、最近仕事にも集中できない。

 蒼の事を諦めて違う女と遊べばいいのだが、最近はそんなことすら考えられない。とにかく彼女を手に入れることしか今は考えられない。

 蒼はまるで宝石の原石のようだ。醜い表面の下には美しいダイヤが隠されている。

 なんとしてでも彼女を手に入れたい。これが恋や愛などと言うものかはわからない。ただこんな極上の女を手に入れようとしない男はいない。

 颯人は社長室を出ようとしている彼女の腕を掴んだ。

 「なっ……ちょっといきなり何して……」

 憤る彼女を無視して、颯人は彼女を壁に押し付けた。

 蒼は澄んだ大きな目で真っ直ぐに彼を睨み、二人の間に熱く張りつめた緊張感が漂う。颯人は彼女の意思の強そうな目で見つめられゾクゾクとする。

 「もういい加減にしてください。私に構わないでと言ったでしょう」

 蒼はやたら颯人と距離を取ろうとする。彼が彼女の心に一歩でも踏み込もうとするとすぐに逃げていく。

 だから彼女が心を開くまでひたすら辛抱強く待った。

 だが彼女は怯えて頑なに心を閉ざしたままで、いつまで経っても距離が縮まらない。

 これからは距離を置くことも、地味な姿で自分を隠そうとすることも、彼から逃げることももう許さない。彼女の閉ざされた心をこじ開けるには少々強引な手を使うしかない……

 「蒼、もう逃さないよ」

 颯人は不敵に微笑むと、怯える蒼を見つめた。

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