Rescue Me

 「大丈夫ですよ。ここは閑静な住宅街の中に建っていて、近所の人も皆とても親切で周りのことをよく気をつけて見てくれてますし」

 社長は心配そうに眉根を寄せるものの、それ以上は何も言わずに、私を助手席に座らせると車を走らせた。

 この辺りでは比較的大きなペットショップに立ち寄る。

 ここでは定期的に売れ残ったドッグフードやおもちゃ、ベッドなどを無料で寄付してくれる。店の中に入ると入口付近に子犬が何匹かケージの中に入っていて、転がりながら遊んでいるのが見えた。

 この子犬達はニ週間前に連絡を受け、Paw Rescuersが引き取った子犬たちだ。母犬が子犬を産んだのだが自分たちでは面倒見きれず、子犬達に新しい家族を見つけて欲しいと連絡があったのだ。

 私が子犬を撫でていると、社長が後ろからやって来た。

「かわいいな。この犬なんていう犬種なんだ?」

「多分雑種ですよ。この子達はうちで保護されたんです。ここのオーナーにこうやってここに置いてもらって、新しい家族に引き取ってもらうと同時に保護団体の宣伝もしてもらってるんです。」

 基本的に団体から保護犬を引き取ってもらう場合、まず里親になるための面接をしてもらう必要がある。

 その後里親は希望の保護犬を引き取る事を申請できるのだが、団体が家族構成や生活パターンなど犬と合うと思った時のみ正式に引き取る事ができる様になっている。

 なのでここに置いてもらっている子犬たちも、あらかじめ子犬を引き取ってもいいと団体が判断した里親のみ引き取る事ができる。

 子犬を希望する里親さんは多いので、ここに来て実際に会い、相性がうまく合えばそのまま持って帰れる様になっている。要は早いもの順になってしまう。

 またこうしてペットショップに犬を置くことで団体に興味を持ってもらい、さらに里親として登録してもらう狙いもある。
< 35 / 151 >

この作品をシェア

pagetop