Rescue Me

第1章

 「こんにちはー」

 私、七瀬(ななせ)(あおい)は、元気よくペットホテル「Paw Hotel and Daycare 」 のドアを開けた。

 ここのオーナー、千歳(ちとせ)佳奈(かな)さんは50代前半のとても優しい女性。このペットホテルを営む傍らこの地域に小さなボランティアグループ「Paw Rescuers」を立ち上げて、保健所に捨てられた犬を保護し里親や犬を一時期預かってくれるフォスターさんを探している。

 保護された犬は、引き取り手が見つかるまでしばらくこのペットホテルの空き部屋で過ごしていて、私はここで犬の世話をするボランティアをしている。

 元々犬が好きで、子供の頃から家族でこのようなボランティアをしていた。もちろん子供の頃から飼っていた犬は全て保護犬だ。アメリカから帰国後、早速ここでボランティアを始めた。すでに2年も犬の保護を手助けしている私は、佳奈さんとはすっかり仲良しだ。

 「いらっしゃい〜。あれ?今日は来ないと思ってたけど。今日から新しい仕事じゃなかった?」

 佳奈さんがびっくりしたように奥から出てきてた。

 「明日からね。新しい職場で働き出したら週末まで来れないかと思って今日来たの。ココアとポテトは元気にしてる?」

 ココアは2週間前保健所から保護された高齢のミニチュアダックスフンドで、里親が見つかり今週末新しい家族の元へと行く予定になっている。ポテトも先週保健所からここにやってきたラブラドールだが、大型犬で高齢な為かなかなか貰い手が見つからない。

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