Rescue Me
 「そうね、調子は良さそうだけど、まあ二匹ともおばあちゃんだからほとんど寝てばかりね。そう言う蒼ちゃんはどう?未だあの変な男に追いかけられてるの?あまりしつこいようだったら警察に行ったほうがいいんじゃない?」

 「ありがとう。まあ先週引っ越したし、しばらく見てないから大丈夫かも。もしかしたら諦めたのかもしれないし……」

 「本当?もう気をつけてよ。最近ストーカーで怖いニュースもよく見るし」

 「うん。多分大丈夫。とりあえずココアとポテト散歩に連れてくね」

 私はココアとポテトを連れ出すと一緒に近くの土手をノロノロと散歩した。

 小さなココアと大きなポテトがよちよちと歩く姿は可愛くて心温まる。高齢になったから面倒見きれないと保健所に自分の犬を捨てに行く人の気が知れない。


 散歩をしながら、先々月まで勤めていた高嶺コーポレーションのことを振り返った。ここには約2年勤めたが、今考えると出だしから良くなかったような気がする。

 私は祖父がアメリカ人で小さい頃からほんの少し日本人離れしたような顔をしている。

 筋の通った鼻や大きな目と長い睫毛、ほんのりと茶色い髪、それに思春期を過ぎてからは人よりも少し大きくなった胸。その派手な容姿は良くも悪くもどうしても目立ってしまう。その為中学生の頃からやたら男子に時には大人の男性から絡まれた。

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