Rescue Me
「七瀬さん、その格好すごく似合ってる」
久しぶりに経理の姫野さんとお昼をした私は、彼女にそう褒められて赤くなった。
「ありがとう。ごめんね、なんだか騙すような事をしちゃって。でもあの格好には色々とわけがあったの」
そう姫野さんに申し訳なくて謝った。
「まあ想像はつくよ。いつもわざと不似合いの洋服とか分厚い眼鏡とかかけてたから、何か理由があるんだろうなとは思ってたの」
姫野さんは特に気にしていないような様子で私に言った。
「実は前の会社で色々とあって、それであんな格好をして出社してたの。でも心配しすぎてたみたい。きっと前の会社が特別変だったのかも。だってこの格好で来てもこの会社では誰もセクハラも嫌がらせもしてこないし」
私の言葉に、姫野さんはふふっと急に笑った。
「そうね。それもあるけど、一番大きかったのは社長からセクハラや女性に対する差別は厳罰、最悪はクビになるって社内通知があったのが大きいんじゃないかな」
「えっ……?」
「女子社員も、もし自分が少しでもセクハラだと感じた場合は必ず報告するようにって言われてるの。あのメールを見た後、男性社員はもの凄く神経使ってて、見ててちょっとかわいそうなくらい」
姫野さんは再び笑い出した。私はびっくりしてこの話を聞いた。まさか社長がそんな事を社内に通知していたなんて……
「でも、こういう社長がいるといいわよね。だって実際女性だからって馬鹿にしたり、ちょっとセクハラっぽい事気軽に言ってくる無神経な人がいるじゃない?そういう人には、今回社長から言われた事で、ちゃんと自分の言動を注意して見直してもらういい機会になるんだから」
社長……
私の心にじわりと温かいものが広がっていく。
新しいことに挑戦すれば色々な事が見えてくると後押ししてくれた彼。黒木部長のことで傷ついた私に手を伸ばし支えてくれた彼。私を必ず守ると、だから自由に自分を隠さず生きろと勇気をくれた彼。その彼の優しさに心が震えるほど揺り動かされる。
私は彼からもらったダイヤのネックレスを愛しむようにそっと手で触れた。それはまるで彼への気持ちを表しているかのように美しく輝いている。彼にどんどん惹かれる自分に気付き、なぜか泣きたいほど胸がいっぱいになった。
きっと私は社長に恋をしている。
恐らく、どうしようもないほどに……
久しぶりに経理の姫野さんとお昼をした私は、彼女にそう褒められて赤くなった。
「ありがとう。ごめんね、なんだか騙すような事をしちゃって。でもあの格好には色々とわけがあったの」
そう姫野さんに申し訳なくて謝った。
「まあ想像はつくよ。いつもわざと不似合いの洋服とか分厚い眼鏡とかかけてたから、何か理由があるんだろうなとは思ってたの」
姫野さんは特に気にしていないような様子で私に言った。
「実は前の会社で色々とあって、それであんな格好をして出社してたの。でも心配しすぎてたみたい。きっと前の会社が特別変だったのかも。だってこの格好で来てもこの会社では誰もセクハラも嫌がらせもしてこないし」
私の言葉に、姫野さんはふふっと急に笑った。
「そうね。それもあるけど、一番大きかったのは社長からセクハラや女性に対する差別は厳罰、最悪はクビになるって社内通知があったのが大きいんじゃないかな」
「えっ……?」
「女子社員も、もし自分が少しでもセクハラだと感じた場合は必ず報告するようにって言われてるの。あのメールを見た後、男性社員はもの凄く神経使ってて、見ててちょっとかわいそうなくらい」
姫野さんは再び笑い出した。私はびっくりしてこの話を聞いた。まさか社長がそんな事を社内に通知していたなんて……
「でも、こういう社長がいるといいわよね。だって実際女性だからって馬鹿にしたり、ちょっとセクハラっぽい事気軽に言ってくる無神経な人がいるじゃない?そういう人には、今回社長から言われた事で、ちゃんと自分の言動を注意して見直してもらういい機会になるんだから」
社長……
私の心にじわりと温かいものが広がっていく。
新しいことに挑戦すれば色々な事が見えてくると後押ししてくれた彼。黒木部長のことで傷ついた私に手を伸ばし支えてくれた彼。私を必ず守ると、だから自由に自分を隠さず生きろと勇気をくれた彼。その彼の優しさに心が震えるほど揺り動かされる。
私は彼からもらったダイヤのネックレスを愛しむようにそっと手で触れた。それはまるで彼への気持ちを表しているかのように美しく輝いている。彼にどんどん惹かれる自分に気付き、なぜか泣きたいほど胸がいっぱいになった。
きっと私は社長に恋をしている。
恐らく、どうしようもないほどに……