Rescue Me
「こんにちはー」
いつもの様に佳奈さんのペットホテルの裏口からきなこと一緒に入った。
「こんにちは、蒼ちゃん。あれ、えっ…ってもしかしてここまで歩いてきたの!?」
スタッフの一人で佳奈さんの娘の美穂さんが、疲れ切った私ときなこを見て驚いた様に言った。
「二時間歩いてきました……。それより、きなこ分離不安症がひどくて。明日会う家族って誰かいつも家にいるんでしたっけ?」
そう言いながら、里親の情報が入っているファイルを探した。
「確か奥さん専業主婦でいつも家にいるはずだよ」
竹中さんがコンピュータから顔を上げて私を見た。
「あれ?あのイケメン彼氏はどうしたの?」
「彼氏じゃないよ。私の上司で今勤めてる会社の社長ね」
竹中さんの冗談を軽く流したが、何故か言葉が重く突き刺さる。
「もーやだ。そんな事言っちゃって。本当は付き合ってるんでしょ?あんなイケメンに私も熱っぽく見つめられたい!」
竹中さんはうっとりと羨ましそうに言った。彼女が一体何の話をしているのか知らないが、私は乾いた笑いを漏らした。
「ははは。本当にそんなんじゃないって。大体彼には、その、許嫁がいるみたいだし……」
「はぁ?なにそれ」
「いや、だから、彼にはちゃんと婚約者がいるっていう噂なの」
私は俯いてごにょごにょと言った。竹中さんはそんな私を哀れな目で見る。
「うん……まあ、よくわからないけど、とにかく元気を出すのよ。他にもきっといい男はいるわ」
ここのスタッフとは既に三年以上の付き合いで、私が大の男嫌いだと知っている。そんな私が男である桐生社長を頻繁にここへ連れて来るのを見て、おそらく私が彼の事をどう思っているか知っているに違いない。
いつもの様に佳奈さんのペットホテルの裏口からきなこと一緒に入った。
「こんにちは、蒼ちゃん。あれ、えっ…ってもしかしてここまで歩いてきたの!?」
スタッフの一人で佳奈さんの娘の美穂さんが、疲れ切った私ときなこを見て驚いた様に言った。
「二時間歩いてきました……。それより、きなこ分離不安症がひどくて。明日会う家族って誰かいつも家にいるんでしたっけ?」
そう言いながら、里親の情報が入っているファイルを探した。
「確か奥さん専業主婦でいつも家にいるはずだよ」
竹中さんがコンピュータから顔を上げて私を見た。
「あれ?あのイケメン彼氏はどうしたの?」
「彼氏じゃないよ。私の上司で今勤めてる会社の社長ね」
竹中さんの冗談を軽く流したが、何故か言葉が重く突き刺さる。
「もーやだ。そんな事言っちゃって。本当は付き合ってるんでしょ?あんなイケメンに私も熱っぽく見つめられたい!」
竹中さんはうっとりと羨ましそうに言った。彼女が一体何の話をしているのか知らないが、私は乾いた笑いを漏らした。
「ははは。本当にそんなんじゃないって。大体彼には、その、許嫁がいるみたいだし……」
「はぁ?なにそれ」
「いや、だから、彼にはちゃんと婚約者がいるっていう噂なの」
私は俯いてごにょごにょと言った。竹中さんはそんな私を哀れな目で見る。
「うん……まあ、よくわからないけど、とにかく元気を出すのよ。他にもきっといい男はいるわ」
ここのスタッフとは既に三年以上の付き合いで、私が大の男嫌いだと知っている。そんな私が男である桐生社長を頻繁にここへ連れて来るのを見て、おそらく私が彼の事をどう思っているか知っているに違いない。