Rescue Me
 「はい。コンテンツなどを制作して提供している会社なんですけど……」

 「ああ、知ってるよ。社長が桐生颯人だろ?」

 「はい……」

 すると水樹さんは意味ありげにニヤリと笑った。

 「へえ、あの人女好きで有名なんだけどな。蒼ちゃんあの社長に狙われてない?多分君あの人の好みの超ど真ん中だよ」

 「えっ……、桐生社長をご存知なんですか……?」

 私は驚いて水樹さんを見た。

 「ああ知ってるよ。だって昔あの人と一緒に働いてたから。俺たちKS IT Solutionsで働いてるんだ」

 ── KS IT Solutionsって確か桐生グループの親会社じゃ……

 以前彼が桐生グループの御曹司だと知った時にネットで調べた事を思い出した。

 「あの人、うちのグループ会社の会長の次男なんだけど、長男の海斗さんは今でもうちの会社で働いてて、おそらく近いうちに社長になるんじゃないかな。今は会長の弟がやってるんだけど、あの人も年だからね。颯人さんもしばらくうちで働いてたんだけどさ、まあお兄さんが継ぐから自分は違うところで社長とかやってみたかったんじゃない?ほら、あの人目立ちたがり屋だからさ。あんなの女にモテる為にやってる様なもんだろ。会長の息子がわざわざ起業なんてさ。どうせ何もしなくてもグループ会社の社長になれるのに」

 水樹さんはなんとなく社長に棘のある言い方をした。もしかして少し酔っているのかもしれないが、いつも社長が寝る間も惜しんで一生懸命働いている姿を見ている私は、思わず水樹さんのその言い方にむっとしてしまう。

 「……女の人にモテる為にやっているのではないと思いますけど……。それに社長には既に婚約者がいると聞いていますし……」

 「婚約者?もしかして専務の娘の西園寺瑠花のこと言ってる?」

 水樹さんは少し意外そうな顔をすると話を続けた。

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