Rescue Me
「あの、社長のご家族は皆さん今どうされてるんですか?」
先ほど私の家族について話していたので、なんとなく社長の家族の事も気になった。こうしているとつい忘れがちになるが、彼は国内でも有数の大きなグループ会社の御曹司だ。彼と付き合うとは言ったものの、私はごく普通の会社員の娘。彼が以前付き合っていた結城さんのような資産家の娘ではない。もし彼のご家族が私と彼の事を知ったら何と思うのだろう……。
「おそらく俺のことを色々調べたり合コンで誰かから聞いたとは思うけど……」
彼はそう言って悪戯っぽく笑った。
「元は祖父のソフトウェア会社を親父が継いで、もちろん叔父の助けもあったけど一代であそこまで大きくしたんだ。本当に仕事人間な人で、昔からあまり家に寄り付かない人だったよ。子供の頃親父がたまに家に帰って来ると俺は人見知りしてよく泣いていたらしい。基本的に子育ては母に投げっぱなしで家庭的なことは一切しなかった。仕事第一の人だったから、学校の行事なんかに来たことはなかったし、子供の誕生日だからってわざわざ家に帰ってくるような人じゃなかった。だから親父とは今でも少し距離があると言うか他人みたいなところがある」
私は明かされる意外な彼の家族の話に驚きながら、耳を傾けた。彼が子供の頃寂しい思いをしたのではないかと思うと心が痛む。
「母はそんな親父にとっくの昔に愛想をつかせて俺が中三の時家を出た。今は一人で快適にマンションで暮らしてる。母には時々会うけど楽しそうにしてるよ。まあ家でいつ帰ってくるか分からない親父を待ち続けるよりは一人で暮らした方が精神的に楽なんだろうな。兄は今 KS IT Solutionsで働いてて修行中なんだ。でも近いうちに社長に就任して会社を継ぐ予定になってる」
私は合コンで水樹さんが話していた事を思い出した。
「あの、社長はどうして事業を起こそうと思ったんですか?その、お父様のグループ会社で働こうとか思わなかったんですか?」
「そうだな……。実は何年か働いたんだが、ああいう大組織の会社で働くのがあまり自分に合わなかったんだ。雁字搦めになっている感じがして自由がきかないというか。結局自分の実力が試せない気がしたんだ。だから自分で好きなようにできる会社をやってみたかったんだ」
社長の言っている事が何となくわかる気がする。
先ほど私の家族について話していたので、なんとなく社長の家族の事も気になった。こうしているとつい忘れがちになるが、彼は国内でも有数の大きなグループ会社の御曹司だ。彼と付き合うとは言ったものの、私はごく普通の会社員の娘。彼が以前付き合っていた結城さんのような資産家の娘ではない。もし彼のご家族が私と彼の事を知ったら何と思うのだろう……。
「おそらく俺のことを色々調べたり合コンで誰かから聞いたとは思うけど……」
彼はそう言って悪戯っぽく笑った。
「元は祖父のソフトウェア会社を親父が継いで、もちろん叔父の助けもあったけど一代であそこまで大きくしたんだ。本当に仕事人間な人で、昔からあまり家に寄り付かない人だったよ。子供の頃親父がたまに家に帰って来ると俺は人見知りしてよく泣いていたらしい。基本的に子育ては母に投げっぱなしで家庭的なことは一切しなかった。仕事第一の人だったから、学校の行事なんかに来たことはなかったし、子供の誕生日だからってわざわざ家に帰ってくるような人じゃなかった。だから親父とは今でも少し距離があると言うか他人みたいなところがある」
私は明かされる意外な彼の家族の話に驚きながら、耳を傾けた。彼が子供の頃寂しい思いをしたのではないかと思うと心が痛む。
「母はそんな親父にとっくの昔に愛想をつかせて俺が中三の時家を出た。今は一人で快適にマンションで暮らしてる。母には時々会うけど楽しそうにしてるよ。まあ家でいつ帰ってくるか分からない親父を待ち続けるよりは一人で暮らした方が精神的に楽なんだろうな。兄は今 KS IT Solutionsで働いてて修行中なんだ。でも近いうちに社長に就任して会社を継ぐ予定になってる」
私は合コンで水樹さんが話していた事を思い出した。
「あの、社長はどうして事業を起こそうと思ったんですか?その、お父様のグループ会社で働こうとか思わなかったんですか?」
「そうだな……。実は何年か働いたんだが、ああいう大組織の会社で働くのがあまり自分に合わなかったんだ。雁字搦めになっている感じがして自由がきかないというか。結局自分の実力が試せない気がしたんだ。だから自分で好きなようにできる会社をやってみたかったんだ」
社長の言っている事が何となくわかる気がする。