満月の誘惑




「今日のご飯は、柚葉が作ってくれたんだったな」


「はい、そうです。やはり、お口に合いませんでしたよね。ご期待に添えず、すみません…」





ぶっきらぼうな口調だったから、てっきり美味しくないんだと思って、謝罪の言葉が口をついて出た。



私には嫁は務まらなかった。それが頭に浮かんで凹んでいると、

「いや、逆だ。柚葉のお母さんのご飯も美味しいが、柚葉のご飯は何かが違う。とても美味しい。どう言えば良いか…」

とモゴモゴ言い出した。



こんなによく話す旦那様を、初めて見た気がする。

そして、私の作ったご飯をとても美味しいと言ってくれたのが一番嬉しい。


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