満月の誘惑





「…分かりました。この前みたいにしんどそうに家に戻ってこられると心配するので、朝でも良いですからゆっくり戻ってきてください」


「ありがとう。じゃあ遠慮なく、ゆっくりするよ。帰ってきたら、お風呂に入りたいんだ。申し訳ないが、近所に銭湯などないか教えてもらえないか?」


「家で入られては?」


「沸かすのが大変だ。柚葉たちに面倒はかけたくない」




面倒なんて、全く思っていない。

旦那様がそうしろとおっしゃるなら、喜んで沸かすのに。



それに今は面倒より、隠し事の方が気がかり。




「少し遠いですが二軒隣にあるので、朝お借りできないか聞いておきます。ダメなら家で沸かしますから」



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