満月の誘惑






次の日、一日収穫で忙しくしていた両親に替わり、夕方の納入に向かった。


日暮れが近づいてくると、旦那様が出られる。




帰り道を急ぎ、駆け足で家に向かわないと、旦那様の後を追えない。


砂埃を立てながら足を進めていると、一際背の高いボサボサの髪が遠くから見えた。




一目で分かる、旦那様だった。この間より、出る時間が早い。



見つからないように、商店と家の隙間に体を潜めるも、私に気づく素振りもなく、大股で何も持たずに通り過ぎた。



そのまま後ろ姿を眺めていると、突然立ち止まってしゃがんだ旦那様。

胸あたりを手で押さえているのが見えて、旦那様から隠れていたのに助けに行こうと近寄って行った。


でも私が辿り着く前に、商店の大将が駆け寄り何やら言葉をかけてくれて、また見つからないようにその場で立ち止まって様子を伺う。


旦那様は駆け寄った人を全員制止していて、助けてもらうのを嫌がっているように見えた。


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