満月の誘惑
だから旦那様は、二日も帰って来れなかったんだ。
明後日、旦那様が帰ってきたら、労わってあげたい。
栄養のあるご飯と、寛げる空間。
寄り添える信頼をもって、待っていたい。
我に返って、黙って置いてきた両親を思い出し、急いで来た道を戻った。
家に戻ると、すっかり日は昇っており、時間に特に厳しいお父様に何を言われるか怯えていたが、両親は何食わぬ顔で畑の草むしりをしている。
厚かましいことではあるが、私を探そうと心配している風にも見えない。
それに、帰ってきた私の姿を見ると、
「おう。どうだった」
なんて、呑気に聞いてくる。