俺の女



―――その頃、恋嘩の傍で美蘭が、外から聞こえる喧嘩の声に眉をひそめる。






『始まった…』

『…美蘭…』





心配そうな恋嘩の声が聞こえ、美蘭が恋嘩に目を移す。





『あ…起きてたん?』

『また…喧嘩?』

『うん。まぁ…しゃーないよ。そぅゆぅ一味やもん。』

『うん…』





目を伏せて横を向く恋嘩。


美蘭は少し困った顔をして、恋嘩に問いかけてみる。





『こんなん…嫌?』





美蘭の言葉を聞いて、ハッとしたように美蘭を見る恋嘩。





『えっ…ううん。愁洩のこと好きやし……愁洩の仕事ってか…やりたいことはさせてあげたいもん…。でも…』

『でも?』

『喧嘩で…皆が傷つくのは嫌やなぁ…悲しいから。』





布団を口元まで被って、寂しそうな目をする恋嘩。




…そー言うと思った。

恋嘩は優しい子やもんな。






『あたしらが今、皆と暮らしてるこの世界は…いつ死んじゃうかもわからへん…危険な世界やん?』

『………』





恋嘩の言葉を聞いて、美蘭も目を伏せた。





―――改めて思うと…そーやんな。


いつも危険と隣り合わせな…危ない世界…。





『あたしらのことは…皆が守ってくれるけど…自分の身は自分で守る努力もしなあかんなーって…。これからもずっと…この世界で生きていくならなっw』





恋嘩の言葉を聞いて、頬を緩める美蘭。





『…そっか。そーやんなw』





…そーやん。


あたしが弱気になってどーすんの。



この世界で生きてくって決めたんやから…。



恋嘩と…諒弥と…あいつらと。






『だからッ…ケホッ!ケホッ!』





急にひどい咳をする恋嘩。





『恋嘩!!!』

『ん゛…大丈夫っ…』

『熱は?!』





美蘭が恋嘩のおでこに手を当てる。
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