俺の女
『…恋嘩……?』
「…なんでお前が泣くねん…なんでなんにも言わへんねんっ!!」
「「恋嘩―――」」
……カズが教室の入り口から恋嘩を呼んだ。
「「「!!!!!」」」
その声に、恋嘩だけじゃなく、愁洩たち3人もカズの方を見た。
美蘭も驚いて声をあげる。
『……カズ?!』
「…なんでてめぇが……」
ガタッ…
恋嘩が席を立って、かばんを持ち、カズの元へ足を運ぶ。
『!!!恋嘩?!』
「お前…なんで行くねん?!」
「恋嘩ッッッ!!!!!」
『………』
3人の声にも、足を止めない恋嘩。
恋嘩が向かう先には、もう1人男がいた。
「「行くぞ」」
『…ヒロまで……???』
「…ざけんじゃねぇッ!!!恋嘩を返せ糞野郎!!!てめぇらまとめて俺がッ…」
愁洩がカズに殴りかかろうとする。
バッ!!!
…そんな愁洩を、恋嘩が抑えた。
「……恋嘩…?」
恋嘩は無言で首を大きく横に振る。
思いがけない恋嘩の行動に、立ち尽くす愁洩。
「な……んでッ…」
「「恋嘩」」
『……』
タッ…タッ…
恋嘩はカズとヒロの真ん中を歩いて、学校を出ていった。