俺の女
「恋嘩チャンッッッ!!!」
「あいつら…誰なん?!」
鑄と湧愾が真っ先に駆け寄って、恋嘩に声をかけた。
そのあとも、仲間たちが駆け寄ってくる。
「あいつらに脅されてんのかッ?!そーなんやろ!?」
「なら俺らが今ぶっ潰してやっから!!」
「戻って来てくれや!!!恋嘩チャン!」
臾と仁と亮駕が、向こうにいる2人の男を睨みながら、鉄パイプを握りしめた。
…恋嘩は、戻りたかった。
今、ここで助けを求めれば、仲間達が2人をやっつけてくれて、あたしは皆の元へ戻れる。
…愁洩と別れたくないのに…別れなくていい。
…でも、今あたしが戻ったら…皆は……
恋嘩は、『助けて』という、たった一言を飲み込もうと、唇を噛んだ。
『……ごめんな』
「「「!!!!!」」」
『もぅ…皆の所には帰れへん…』
「…なんで…?」
隆峨が小さく声を漏らした。
『今まで…ありがとぅ…』
「恋嘩チャンッッッ!!!」
「待てよッ!冗談やろ!?」
雄祐や剄たちの、自分を必死で呼び止める声が胸に刺さった。
―――それでも恋嘩は…
『………ごめんなッッッ』
恋嘩は仲間の間をすり抜けて、カズとヒロと姿を消した…