俺の女




「…んやねん畜生ッ!耳いってぇ…」





耳を抑えながら、愁洩が呟くのを横目で見て、美蘭がため息をついた。





『どっちもどっちやな。』

「俺も悪ぃけ?!」

『今の言い方はあかんやろ〜…詳しい事情は知らんけどさ。愁洩がおちょくって…恋嘩がバカってゆーたんやろ?どっちもどっちやん。』

「だぁ〜!も〜!!」





美蘭に間違ってないことを言われ、愁洩はイライラして、ガーっと頭をかいてふて腐れる。





「どっか行ってもーたでー?」

「知るかッ!!!」





愁洩はドカッと階段に座り込んでしまった。





「あ〜ぁ。どっちもふてくされちったよ。どーする?」

『ほっといたら仲直りするやろ。先帰ってるからな?』

「ちゃんと仲直りしろよ〜」


「うっせぇ!!!」





愁洩が言い放つのを聞いて肩を落とし、そのまま諒弥と美蘭は去っていった。





「…なんやねん恋嘩の奴…!」





チラッと恋嘩の去った方を見るが、恋嘩の姿はない。





「…知るか知るか!!」





愁洩は横に首をブンブンふる。



…マジで男と行ったりしてへんやろぅなぁ…





「でも…ありえるよなぁ〜………」





愁洩はしばらく考える。





「だぁー!!!くそッ!」






愁洩は頭を掻きむしりながら立ち上がって、恋嘩の去った方へ歩き出した。
< 177 / 321 >

この作品をシェア

pagetop