俺の女
「「…あなたは…美蘭ちゃん?」」
『恋嘩のッ―…』
恋嘩の母を見て、おみくじの紙をぎゅっ…と握り締める。
その人の横にいるのは―――
「「美蘭…」」
『……お母…さん?』
…声が震え、手を握り締めて震えを押さえ込む。
…今度は美蘭をも、軽蔑の眼差しで見る恋嘩の父。
「「なんや…君までこんな連中とつるんでたのか。まったく…2人揃ってどーしよーもないな」」
『―――っやめてッッッ!!!』
涙ながらに、恋嘩が父を睨み付ける。
…美蘭は、言われたことなど無視して、恋嘩の母をまっすぐ見た。
『………どこ行ってたんですか?』
「「…え?」」
『幼い恋嘩を捨てて…一体どこに行ってたんですか!?』
感情がこもって、声が大きくなる。
恋嘩の母は、黙ってその美蘭の真っ直ぐな視線から目を逸らした。
「「………」」
『恋嘩は…ずっと貴方達のこと信じてたんですよ?!絶対帰ってきてくれるって……あたしだって…お母さん達のこと信じてた…。なのに…なんで…』
…美蘭の母親も、なにも言わない。
なにか仕方がなかった理由があったのか…
少し胸に希望を浮かべていた美蘭だったが――――
恋嘩の父の一言で、その希望もかき消された。
「「邪魔だったんだよ。」」
父の冷たい言葉が、恋嘩の心に突き刺さる。
美蘭も、その言葉に目を丸くした。