俺の女
「……恋嘩…???」
嫌な予感がして、愁洩が駆け寄る。
そして女の人の顔を覗き込むと…
表情をゆがめて呻いている恋嘩だった。
「恋嘩やんけッ!!!どーしてん!?」
『お腹が…痛くてッ…。でも…大丈夫…すぐ治まるからッ』
「何ゆーてんねん!陣痛来たんちゃうんけッ?!」
『まだッ…やと思うんやけどッ……』
「ちょッ…どッ…どーしたらッ…」
『!!!恋嘩ッ!』
荷物をまとめて、外に出てきた美蘭が恋嘩に気がついた。
あわてて駆け寄って、恋嘩の背中に手を当てる。
『きたんッ?!』
「みっ…美蘭!俺…どーしたらえーんか…」
『大丈夫!まだ我慢できるよな?恋嘩!』
『うんッ…』
『もータクシー来てくれたから!さ!病院行こッ?』
テンパる愁洩を落ち着かせて、2人で恋嘩をタクシーに乗せる。
美蘭も乗り込み、窓越しに愁洩が心配そうに聞いた。
「もう産まれんのか?!」
『うーうん…まだやと思う…。また産まれそうになったら電話するから!』
「あぁ!わかった…」
美蘭に恋嘩を託して、車のドアを閉める。
バンッ…ブロロロ…
「………大丈夫かよ…」
車を見送りながら、ふと携帯を見る。
「―――――ッ!やっべッ!遅刻!!!」