俺の女




―――職場



走ってきて息を切らせている愁洩。

すでに仕事を始めていた仲間たちが、遅れてきた愁洩に文句をぶつける。





「おっせぇーぞ愁洩ー!」

「何しとってん」





壟と扎墅が荷物を持ちながら、息を切らせて膝に手をついている愁洩の傍で止まる。

2人の声に顔を上げ、途切れ途切れに事を話す。






「それがよッ!!!戻ったらっ…恋嘩が腹痛くてっ…しゃがんでてよ!!!」

「「「えぇッ!!!」」」





―――ドサッ…


それを聞いた皆が、持っていた荷物を一斉に落とす。



隼莵と仁が荷物をほったらかして愁洩の所まで歩いてくる。





「恋嘩チャンッ…大丈夫なんけ!!?」

「もう産まれるんけッ?!」


「美蘭が言うには…まだらしい。また連絡するってよ…。」





それを聞いて、ちょっと心配になった仲間たちの元に、動きを止めている皆を見た片瀬さんが怒鳴りにくる。





「「コラァー!!!お前らぁ!!!荷物落としてなに話し込んどんねん!」」

「うげッ!!!片瀬ッ…」





片瀬さんの登場に、秀平が露骨に顔をしかめる。

片瀬さんは、遅れてきた愁洩をチラッと見たが、理由は美蘭から連絡が来ていたため、なにも言わず視線を逸らし、声を張り上げた。





「「ほら!ぼさっとしてねぇでお前らも早く仕事しろッ!」」

「「「わーったよ!!!」」」
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