俺の女


「どッ…どーした?!」

『産まれそうッ!!!』

「……え?」



『だからッ!産まれそう!!!』

「!!!なんやてぇ?!」





荷物を置きに行ったはずの愁洩が、携帯を持って声をあげている。


通り掛かった仲間たちが、疑問を投げ掛ける。






「おぅおぅ!どーした?!早く運べって…」

「てめぇら大変やっ!!!」

「「「???」」」


「恋嘩が産まれそうやぁッ!!!」

「「「なんやてぇっ!??!」」」





愁洩の必死の声と言葉に、仲間たちも驚きの表情を返す。


ちょうど通り掛かった片瀬さんも、足を止めた。





「「!!!…お前ら何ぼさっとしてんねん!!!」」





片瀬さんの声を聞いて、皆が一斉に振り返った。


屡尉と秀平が、片瀬さんにすがるような声を出す。





「片瀬ッ…」

「片瀬ッ!!!聞いてくれやッ!」

「恋嘩がッ…」





仕事放棄を許してくれないだろうと思い、必死に訴えようとする愁洩たちだったが…





「「早よ病院行け!てめぇらッ!!!もたもたすんじゃねぇッ!」」


「え…でもよぉ…仕事ッ…」


「「仕事なんて俺らがやってやる!!!」」

「「そーや!さっさと行け!産まれんねんろ?!」」





武田さんと岡田さんも、仲間たちをせりたてた。


愁洩は拳を握りしめ、ガバッと頭を下げて、仲間たちに声をあげながら走った。





「行くぞお前らぁ!」

「「「おおっ!!」」」
< 259 / 321 >

この作品をシェア

pagetop