俺の女




―――病院




ダンダンダンッ!!!



力強い足音で、階段を駆け上がる。





「ちっくしょぉッ!エレベーターないんかよッ!」





イライラと階段を上り続ける愁洩を追いながら、篤諮が叫ぶ。





「だからぁ!あっちにあったっちゅーたやん!!人の話聞けよッ!」

「それどころやないねんッ!恋嘩恋嘩恋嘩恋嘩ッ!!!」



「おい!ここは病院やぞッ?!もっと静かにしろッ!」





諒弥が愁洩に注意するが、諒弥の声も大きい。


仁が息を切らしながら愁洩に聞く。





「つーかどこか知ってんのかよ!」

「知らんわッ!」

「「「はぁッ?!」」」





予想外の言葉に、足を止める仲間たち。


その仲間たちの反応に対して、愁洩も足を止めた。





「なんやねん…お前らが誰か知ってんちゃうんかよッ!」

「知るかぁッ!!!」





混乱して声の制御ができず、大声が院内に響き渡る。


パニック状態の愁洩達に、通り掛かった看護婦さんが話し掛ける。





+「すいません…病院ではお静かに…」

「あぁッ…すんませんッ!あの…恋嘩って女の子知りませんか?!」




諒弥が軽く頭を下げながら看護婦さんに問うと、看護婦さんは少し笑顔を返した。





+「恋嘩ちゃん?知ってますよ!お知り合いの方ですか?」


「そーっす!俺、恋嘩の旦那っ!!恋嘩どこおんの?!」

+「…こっちですよ!でも静かにね!」
< 260 / 321 >

この作品をシェア

pagetop