俺の女





『愁洩ッ!!!』





恋嘩は、徹哉から手を離して愁洩の元にかけだす。





「あかんッ!!!行くなッ!」

「まま…?」





止める臾の声も耳に入らず走る。

徹哉は不安そうな表情で、その場に立ち尽くした。





『やめてッ!何すんのッ?!愁洩を殺さんといてッ!』

「――ッ!!」





走ってきた恋嘩に気づいた愁洩が振り返る。


竜馬はチラッと恋嘩を見て…笑った。





「「おやぁ…いつぞやのお姫様ぁ…。残念…こいつは死ぬんや」」

「恋嘩ッッ!!!来んなぁッ!!!」





硫盟の連中を掻き分けて夢中で走る恋嘩に、愁洩も声を荒げた。


仲間たちも、もう黙っていられないと走り出す。





『嫌やッ!なんで愁洩が殺されなあかんのよッ!』

「来んなぁぁぁッ!!!」

「「じゃーな…愁洩…」」





ドスッ…


竜馬が極太いナイフを突き刺した時……


突き刺さったのは…愁洩の体ではなく…恋嘩の体だった。





『ぅ゛ッ……』







…恋嘩が膝をついて倒れ込む。





「恋嘩ぁッッ!!!」
「「「姫ぇッッ!!!」」」
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