俺の女
『…そーやで…だから…1人で…パパや…お兄ちゃんや美蘭達と…いい子にして待っててくれる…?』
徹哉の頬を愛おしそうにそっと撫でる。
愁洩は目を伏せたまま呟く。
「…やめろッ…」
「やらッ!てったんはママとぢゅっといっちょにいりゅッ!」
急に嫌な予感を感じた徹哉は、だだをこねるように首を振って、目を真っ赤にしながら恋嘩にしがみついた。
そんな幼い徹哉を見て、自分はこんな小さな子を置いて行ってしまうのか……と、また涙を流す恋嘩。
『ごめんな…徹ちゃん…』
「ままっ…にゃいてりゅの…?」
『ッ…泣いてないよっ?』
「だりぇが…ママのことにゃかしちゃのっ??てったんがえいやーってちてきてあげりゅっ!!きりゃいだからっ……ぶぁかって…いっちぇきちぇあげりゅよっ?」
昨日、お風呂で言っていたこと…
バカってゆーのは、嫌いな人にゆーんやで。
そう教わった徹哉は、恋嘩を泣かした人物に、バカって言いに行くと…恋嘩に伝えた。
それを聞いた恋嘩は、涙が止まらない。
『徹ちゃんっ…ごめんなっ……まま…もう徹ちゃんと一緒にいられんくなっちゃった…』
「…にゃんれっ!!?」
「やめろ恋嘩ッ!!!お前は死なへんねんッ!!!生きて…これからもずっと俺らと暮らすんやッ!!!ずっと一緒にいるんやろッ?!」
黙っていられなくなった愁洩が、また声を荒げた。
徹哉はビクッとして、泣きそうになるのを、唇を噛んで堪えた。
『…ごめんなッ…』
「泣くなよッ!!!死ぬなぁッ!!!もっと俺らと一緒にいてくれよッ!!!」
『―――ッ…約束…ごめんなっ…。』
愁洩の目からも…恋嘩の目からも…涙が止まらない。
恋嘩は自分の涙を拭う…