俺の女
「姫ぇッ!!!」
「恋嘩ッ…」
剛軌と諒弥の声を聞いて、少しそちらに顔を傾ける。
『皆ッ…ほんまに…ごめんな…。あたし…皆に逢えてよかったッ…』
『…恋嘩…?』
意味深な言葉を発する恋嘩を、不思議そうに見る美蘭。
恋嘩…なにゆってんの…?
『皆のこと…大好きやから…』
「「「姫ッ………」」」
仲間達の目からも、涙が溢れる。
信じたくない…こんな現実…
しかし、仲間たちはただ…立ち尽くすしかできない…
『徹ちゃん…』
「…???」
『産まれてきてくれて…ありがとう…。ママは徹哉が大好きやからね…』
「…てったんもまま、らいしゅきらよ?」
徹哉も…不思議そうな顔で、恋嘩を見つめ…答えた。
……まま?
『ありがとう…徹ちゃん。…愁洩?』
「―――――ッ…」
恋嘩の視線が、愁洩に戻った。
途端に、胸が圧迫され、涙が溢れ出る愁洩。
『泣かん…といて…?』
愁洩の手をキュッと力ない手で握る恋嘩。
愁洩はその手を力いっぱい握り返した。
「なんでッ…お前がッ……お前が死ぬことないねんッ!!!」
『…ごめんな…。』
「ごめんちゃうわッ!!!もう喋んなっ!!今から病院連れてったるからっ!!ぜってえー死なせんからっ!!」
恋嘩は死なないと……恋嘩にも…自分にも言い聞かせる。
でも恋嘩は…そんな愁洩の不安を消してはくれない。
恋嘩は…伝えたかった。
伝えきれないけど…普段あまり言えない自分の気持ちを…
今…生きていられる間に…。
『愁洩…あたし…愁洩に逢えてよかった…。愁洩に好きになってもらって…結婚できて…子供もできて…あたしは…世界一の幸せ者でした…。ありがとう…。』
「ッッッッッ」
愁洩は声を押し殺した。
泣くなっ…!!
こいつは死なんねんっ!!
死なせたらあかんねんっ…!!