俺の女


「悪い奴ってお前…」

『えーやん別にッ…お父さん達だって十分不良やろ?』

「―――ッ…」





恋の言葉に反感できず、言葉を詰まされる諒弥。


これぞ娘を持った父の悲しみ。





「恋ちゃんだって恋愛すんねん。諦めろ諒弥(笑)俺らだって…ずっと恋嘩チャンに片想いやってんぞ?」

「そーそー…」





洗面所から戻ってきた徹哉が、剛軌と剄の呟きに興味を持って食いついた。





「片想いって…俺の母ちゃんそんなにモテモテやったんけ?(笑)」

「そりゃぁーもぅw」

「優しいし可愛いし美人やしw」

「いつでも俺らのこと気遣ってくれっしw」

「マジ憧れやったよなぁーw」





懐かしそうに話す爻たちを見て、徹哉が笑いながら愁洩を見た。





「マジかよ親父!(笑)」

「ったり前やろ?俺の嫁さんでお前の母ちゃんやぞ?やっべぇほどいい女よぉw」

「俺もあんま覚えてへんけど…すっげぇ愛されてた気ーするわw」





タバコをふかしながら、笑顔で話す愁洩に、徹哉もかすかな記憶を思い出した…





「あぁ…お前はすっげぇ愛されてたぞwまw俺もやけどなぁw」

「じゃー俺も母ちゃんみてぇなすっげぇいい女を嫁にもらうわッw」

「あぁwそーしろ!ま…恋嘩よりいい女なんておらんけどなぁw」

「そりゃそーやろッwんじゃ…いってくる!」

『待ってよー!あたしも行くー!』





ニカッと笑って玄関へ走る徹哉と追いかける恋。

美蘭が声をかける。





『行ってらっしゃいw』

『いってきまーす!』





――――パタン…。
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