俺の女



「「はっはっはぁ!!!(笑)」」





咄嗟のことで、恋嘩が振り向く間もなく、竜馬のパイプが恋嘩の頭上で振り上げられた。





「!!!」





ガバッ!!!…ガッ…






それが目に入った愁洩は、恋嘩を自分のほうに引き寄せた。


その瞬間、恋嘩の背後から襲ってきた竜馬の鉄パイプは…恋嘩をかばった愁洩の左目に直撃した。





『愁洩!!!』

「ッッッてぇー…」


「お前…目…」






―――――ポタ…ポタ…


爻が見た愁洩の目からは、血が滴り落ちていた。



幸い、直接目に当たったのではなく、若干上にそれていたが、愁洩は痛みで目を開けられない。





「どーってことないッ…」

『愁洩ッ…ごめんなッ……あたしをかばって…』


「おまえのせいちゃう…気にすんな…」





目に涙を浮かべて、縋り付く恋嘩の頭をそっと撫でて、愁洩は立ち上がった。





「女の背後から襲いかかるたぁ…随分卑怯ちゃうけ?……竜馬。」

「「へっ…かっこつけんな。卑怯でもなんでもえーねん……お前に勝ちゃぁなぁ…」」


「あぁそーかよ…あいにく…片目なくしても…俺の戦力にゃぁ差し支えへんけどなっ…」





ガァン!!!



愁洩は力いっぱい鉄パイプを振り上げ、竜馬の鉄パイプを弾き飛ばした。
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