俺の女
『へくしゅッ…』
頬を赤く染めて、ソファーで横たわる恋嘩。
美蘭がその恋嘩の脇から、ピピピッ…っと鳴った体温計を取り出す。
『38.5…風邪やね。』
「マジで?!」
「大丈夫かぁ???」
愁洩と智稀が心配そうに、恋嘩を覗き込むように身を乗り出した。
『明日病院行こ。』
『病院?!』
『注射してもらわんと…』
『…ッッ嫌!!!絶対行かへんっ!』
そう言って布団に潜り込む恋嘩。
その姿を見て、「まだまだ子供やなー」と笑う美蘭。
『冗談やって(笑)どっちにしろ…ケガも見てもらわんとなぁ…。あんたらも行くねんで?』
「「「えぇー!!!」」」
『えぇーとちゃうわっ!ちゃんと病院で処置してもらわんと…とくにあんた!』
ビシッと自分を指差す美蘭から、視線を外して軽くため息をつく愁洩。
「俺はもーわかりきっとるやんけ……失明やろ。現に目、開かへんし」
『…まだわからんやろ。』
「えーやん。この方がかっこえーしw傷がズバァーとついててよ(笑)」
愁洩は自分の傷を指でなぞって、笑顔で精一杯の強がりを言う。
『バカなこと言うてんときぃ…。そーなったら……もう両目で恋嘩のことも見れへんねんで?』
「………でも…もうマジで無理やって。見えへんもん。」
『失明ってなに???』
恋嘩が首を傾げる。
『…目が見えんくなること』
『…えッ…』
美蘭の言葉を聞いて、恋嘩の表情が凍りついた。
そんな恋嘩を見て、愁洩が恋嘩の頭をクシャッと撫でた。
「心配すんなw片目ありゃぁ充分やてw」
『………』
……言葉が出ず、俯く恋嘩。
美蘭が慌てて、声をあげた。
『さぁ!もう2時やで?皆寝よ!!!』
「あぁ…マジ眠ぃ…」
「そーやな…ッ…」
諒弥のあくびのあと、愁洩が恋嘩を連れて自分たちの部屋に入って行った。