俺の女

+「優しいお嬢さんやねぇ。」





医者は、恋嘩を見て優しい目でそう言った。


それに頷くように、仲間達も恋嘩を見る。





「ほんっま…いつも自分より俺らのことばっかり…」

「優しいよなぁ…」





凌介と燵弥が、目を細めてフッと笑いながら言う。



そんな2人と、傍で同じことを思っている男たちを見回して、医者は口元をほころばせて手を叩いた。





+「…よし。次は君らの治療や。」





その言葉を聞いて、美蘭が目を見開いて驚いた。





『え?して…いただけるんですか?』

+「目の前に傷だらけの患者がおって、診ーひんわけにもいかんでなぁ(笑)」


「そーっすよね、すんません(笑)」

『お願いします…』





諒弥が軽く、美蘭が深く頭を下げると、医者はニッコリ笑って、「さてと、」と腰を上げて、ケガの治療を始めた。
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