女嫌いな年下のおとこのこ
出張は結局、予想通り飛鳥も同行となり3人で現地へ赴くことになった。
これまでアポから資料作りに訪問の段取り、ホテルや飛行機の手配まで全て聖1人が担っていたが飛鳥の手伝いもあって今回の出張準備は驚くほどに楽になった。
あまりそうは見えないが緊張をしていると言う飛鳥を気遣いながらほぼ1日かけて移動をし、時差ボケをなんとか乗り越えて2日間の商談と契約を済ませた。
時折上司である課長や飛鳥にフォローを入れてもらいながら乗り切り、無事に契約成立をしたことを祝うため課長の発案でホテル近くのビストロで3人での小さな打ち上げを行った。
酒好きな上司は後はホテルで眠るだけという事で気が抜けたのか、クラフトビールやらワインやらを次々に体内に入れ早々に出来上がってしまった。
「いやーお前、ホント優秀だな!」
気が大きくなった課長はバシバシと飛鳥の背を叩きながら豪快に笑う。
「いえ、白河さんの指示が的確だっただけですから」
「世辞も完璧だな!白河〜こりゃお前、いつ寿退社しても大丈夫そうだな!」
「課長、そろそろ本当にセクハラで訴えますよ」
「悪いって冗談冗談!」
お前居なくなると困るから!と一応のフォローを入れるがその顔は全く反省していない。
というか、どうせ明日になれば綺麗さっぱり記憶から消えているのだろう。
聖が結婚に焦っていないからいいものの、相手を間違えれば本当に問題になるぞと思いながら、オススメだというワインを口にする。
その美味たるや、瑞希へのお土産がその瞬間に決まった。