女嫌いな年下のおとこのこ
その態度だけで確信した。
誰だと押し倒して吐かせたい気持ちをグッと抑え、指先に血が通わなくなる程に拳を握りしめた。
「…誰だよ」
「それは言えない」
静かに首を横に振る聖に、嫉妬で頭がおかしくなりそうな激情を必死で押し留める。
「なんでだよ」
「好きになっちゃいけない人だから」
「なんだよそれ…」
「……」
黙り込んで答えない聖の瞳にはうっすらと涙の膜が張られていた。
ーーそんなに、ソイツが好きなのかよ
好きになったらいけないということは、既婚者か、もっと複雑な何かか。
聖は目を逸らしたまま一向にこちらを見ない。
その視線の先にその想い人を思い浮かべているのかと思ったら悔しくてたまらなかった。
ーーどこ見てんだよ
俺を見ろ。お前はずっと俺のもんだろうが。
堪えきれない独占欲が湧き上がり、考えるより先に声が出ていた。