女嫌いな年下のおとこのこ
「…俺は」
「え?」
「俺の事は、どう思ってんだよ」
「……」
聖の目がようやくこちらに向いた。
それだというのに、相変わらずその顔は悲しげに歪んでいた。
「瑞希くんは…大事な、弟…だよ」
小さく呟かれた言葉は酷く心を抉った。
聖が自分の事を弟の様にしか思っていないことなどとうに分かっていた。
けれど実際にその事実を突きつけられて、こんなにも胸が痛くなるなんて思いもしなかった。
「…そーかよ」
だからと言って諦めるなんて言葉は瑞希の辞書には無い。
想いを向ける相手が叶わぬ恋だというならば、無理矢理にでもこちらを向かせればいい。
それからお前が誰のものかを思い出させるんだ。
悔しさで噛み締めすぎた唇からの血の味を感じながら、瑞希は心の内で思いを固めた。