女嫌いない年下のおとこのこ
なんだか遊ばれたような気がして「恥ずかし…」と呟くと「お前変わってねえのな」と瑞希が言う。
「どうせ何でもかんでも自分で背負って勝手にキャパオーバーになった挙句、自己管理グズグズになって上からシメられたんだろ」
「なんで分かるの…」
「別に。お前昔から器用な方じゃ無かったろ」
そう言われて改めて、自分が瑞希を知っているように瑞希も自分の事をよく理解している事を実感する。
十年のブランクはあれど、人の本質はそう変わらない。お人好しで不器用な聖ど同様に、瑞希も。
「いや〜なんか照れるね。でもその通り、根詰めすぎって怒られて会社追い出されちゃったんだよね」
「ハッ、雑魚」
「はは…。まあそれで、同僚にこの店お勧めだって聞いて…」
そこまで言ってしまったと口を押さえた。
この店を知ってる聖の同僚なんて、瑞希の知る限り一人しかいないからだ。
案の定、瑞希の顔に陰りが見える。
「あー…えっと、ごめんね?」
弁解のしようもないのでとりあえず謝った。瑞希の言う通り、空きっ腹にお酒入れたせいで悪い酔い方をしてしまっている。
聖の謝罪に瑞希は一度舌打ちすると、丁度届いたギムレットを店員から奪うように受け取りそれをグッと煽る。半分ほど飲んだ後、少し声色を落として言った。
「やっぱノンケはダメだな。良い女見つけたらすぐ突っ込みたがる」